天干と地支五行の性質と機能ー水行(11)

5 水行

始元
北方に陰極まって寒を生じ、寒は水を生じます。


太陰(月)に属し潤下が性。


積陰の寒気が水に反り、水は外陰にして内明(内陽にして外陰つまり内剛外柔)


流動して方円に従います。(方は四角 円は○ つまり自在に形を変えること)また準(みずもり 水平を計る道具)として万物を平準にします。


水を智とし謀とし重とします。故に権といい、厳凝(水が凍るほど厳しい)の令を施し、殺物の権を司ります。性は不定にして東と決する時は東流し、西と決すれば西流します。潤下が盛徳です。

作用
冷清(陰気が極盛にして冷気を生じ、物を冷清する。)低下(水は冷えて常に低下する働きがある。)凝集(生気を凝集して堅実にさせ、発揚の原動力となる)湿潤(万物を湿潤にして活気を与える)任養(陰極まって内に微陽を生じ、万物の正機となり、生命力を任養する働き)

効用
万物に生気を与え、熱気を納め、土を潤して金を生じ、金を洗って秀気を発し、理性を豊かにします。

干支
天干は戊癸、地支は亥子、その他丑辰申中にも水が暗蔵されえいる。

生尅
金に生を受け、木を生じ、土に尅され火を尅します。

五色
黒 五臓 腎 五根 耳 五主 骨 五味 塩辛い

(1) 水の種類

▼強水
時令(旺相)を得て生助の多いもの。木の洩秀、火の分力、堤防の土を喜び、金の生、水の再来を忌む

▼弱水
失令(休囚死)して生助のないもの。金の生、水の比助を喜び、木の盗気、火の分力、土の尅制を忌む。

▼滞水
金が多ければ水濁る。熔金の火、水の比助を喜び、生金の土、金の再来、木の盗気を忌む。

▼縮水
木が多ければ水縮む。尅木生水の金を喜び、木の再来を最も忌む。蒸発させる火、尅洩交加(こくえいこうか)となる土を忌み、水の比助は力が弱い。

▼沸水
火を多見すれば、水は沸く。水の比助を最も喜び、金の生もまたよい。盗気生火の木、火の再来、水を蒸発させ燥土を忌む。

▼淤水(おすい)土を多見すれば水淤む。(よどむ)疏土衛水の木、洩土生水の金、水の比助を喜び、生土の火土の再来を忌む。

(2) 四時の喜忌


春の水は休令(春水は木が散漫となり時には、泛濫の惧れあり)

寅月
火があれば春水暖かく物を育てるが、金気が水源となれば水尽きぬ象

卯月
春水泛濫の象。先に横流を止める土堤を要し、次に水源の金が必要。

辰月
庫地の土を流す木を先にし、次に水源の金を見れば有用の水。

(三春の水に対する五行の作用)


水強ければ清秀の気となり多見すれば洩弱。


火の相済を喜ぶが、多見すれば任財の能力を失う。


辰月を除き厚土をみれば、泛濫の患を防ぐ。土が皆無なれば散漫となり易い。


水源として重要。金がなければ遂行力を失いやすい。


多見すれば、崩堤の憂いを生じやすい。


夏の水は囚令(乾涸のとき帰源の金と比助の水が必要)

巳月
水の絶地にして涸渇の時。先に消炎の水、次に水源の金が必要。

午月
火焔旺盛の時、先に消炎の水、次に発源の金が必要。

未月
火気退くも燥土司権の時。先に発源の金、次に疏土の木が必要。

(三夏の水に対する五行)


疏土には必要だが、単に木を多見すれば、気勢を削ぐだけ。


火旺の時。火を多見すれば、蒸発の患いがある。


重土は流れを塞ぎ、乾涸の憂いがある。


発源の用として、三夏の水は皆必要。


消熱の用として比助の効力大。


秋水は相令(母旺し子相のとき、表裏ともに晶瑩(しょうえい きらきらと光輝く)

申月
源遠長流の水となるので、整流の亢土があれば、台閣(古代中国では、八省の上にあってこれを統括し、また皇帝を補佐して政策を審議する機関のことを「台閣」と呼んだ)の命。

酉月
金白水清のとき。流通を促す木を喜び土が水を塞ぐのを忌む。

戌月
水は天門に座視、進気に値うが、亢土が流れを阻害する惧れがあるので、疏土の木が必要。

(三秋の水に対する五行の働き)


木を多見すれば子が栄える。


火を多見すれば財豊か。


硬土は堤防となり、氾濫を防ぐが、柔土は水を濁す。


天干上に金をみれば、清澄透底の水。金多ければ滞水となるので、火の制が必要。


多水は氾濫横流の患いがある。


冬水は旺令(当権のときなるも寒威日に増し、結氷の憂いがある。)

亥月
水旺の時。氾濫を防ぐ硬土を先にし、堤防を破る木を制するために金があるのを喜ぶ。

子月
寒気一層厳しさを増す時。解凍の火が何より必要。次に泥水を防ぐ硬土。

丑月
天地ともに凍結の時。専ら解凍の火が必要。

(三冬の水に対する五行の働き)

木  有情の秀気であるが堤防を壊すのを嫌う。
火  除寒解凍の用にして水は清流となる。
土  旺水を整流するので臨機応変の才能をふるう。
金  寒を増し結氷を促して、義理を欠く。
水  氾濫して横水の患いがある。