十二直(じゅうにちょく)

暦の中段に記されている「十二直」の「直」は「当たる」という意味をもっています。飛鳥時代(592~628)から昭和のはじめごろまでは、六曜よりも、この十二直で日々の吉凶を判断するのが一般的でした。この十二直は方位(子=北、丑寅=北東、卯=東、辰巳=南東、午=南、未申=南西、酉=西、戌亥=北西)と北斗七星の回転を結びつけたものです。

旧暦時代は順番をおぼえるために次のような歌がありました。
「十二直 このかしら字を覚ゆべし たのみたさとや あなおひと」

十二直には下表のような語と意味があります。

吉凶 十二直 読 み 意        味
○中吉 たつ ものごとを始めるのに良い日であるが、土木工事などは凶
○小吉 のぞく 悪いことを除ける日で種まきや掃除、治療などには良い日であるが、婚礼や旅行は凶
○大吉 みつ 万物が満ち溢れる日であるけれど、何事も控えめにする方がよい   移転や旅行、婚礼などは吉
○大吉 たいら 万事を公平に分け与える日ですべてに吉。特に婚礼は大吉
○小吉 さだん 物事が定まる日で種まき、地固め、売買などは吉。訴訟や旅行などは凶で特に婚礼は大凶
○小吉 とる 万物を執りたつ(裁決する)日で、婚礼、種まき、造作は吉   ただし旅行や財産整理などは凶
●大凶 やぶる この日に戦えば必ず傷つく日で契約や交渉、相談などは凶   婚礼は大凶
●大凶 あやう 危険がともなう大凶の日で開店や開業は厳禁。ただし祝い事や祭礼は吉
○小吉 なる 物事が成功する日で婚礼、開店、種まき、普請などは吉。特に結納は大吉
○小吉 おさん 万物を取り収める日で穀物の取り入れ、買い物、新築などは吉   婚礼と見合いは凶
○小吉 ひらく 運が開ける日で入学、開業、造作、婚礼、出張などは吉。ただし葬式などは凶
●凶 とづ 万事に悪い日。ただし墓造り、池の埋め立てなどは吉

十二直の始まりは「建」です。冬至の頃(旧暦11月)に北斗七星のひしゃくの柄の部分が真北(子)に向くため、この日を「建子」の月としました。そこで旧暦11月節(大雪)後の最初の子の日を「建」と定めました。十二直の「建」の配当は下表のようになります。

なお、12の節気の日には前日の十二直を繰り返します。こうすることによって、1年たつと順々にずれた十二支が元の組み合わせに戻ることになります。

単純に十二直を繰り返すのではなく、こうして節気ごとに少しずつずれていくことが、十二直の吉凶の神秘性を生み出し、それによって庶民の間で流行したのです。

旧  暦 建 の 配 当 日
 11月節 大雪後の最初の 子 の日
 12月節 小寒後の最初の 丑 の日
 正月節 立春後の最初の 寅 の日
 2月節 啓蟄後の最初の 卯 の日
 3月節 清明後の最初の 辰 の日
 4月節 立夏後の最初の 巳 の日
 5月節 芒種後の最初の 午 の日
 6月節 小暑後の最初の 未 の日
 7月節 立秋後の最初の 申 の日
 8月節 白露後の最初の 酉 の日
 9月節 寒露後の最初の 戌 の日
 10月節 立冬後の最初の 亥 の日