4 金行
始元
西方の陰気は燥を生じ、金は燥に生じます。
性
陰に属し沈下するも止まるところがあります。
体
至陰の中に至陽を含む。故に光明があります。
質
剛堅にして万物を栽断します。
徳
金を義(道理)とし、方(てだて やり方)とし、成(事柄を成す)とします。故に矩(のり 法則)とし収斂(しゅうれん 物を集めおさめる)の令を施し、粛殺(しゅくさつ 秋の厳しい気候が草木を枯らすこと)の権を司り、従道を盛徳とします。
作用
緊縮(陰気進んで万物を緊縮させ大成させる力)収斂(万物の膨張する気をとどめ内部に納蔵させる力)更革(陰陽の二気を変革させる力)銷殺(しょうさつ 万物の気を涸落させる働き)成熟(生物の伸張を制圧し成熟させる力)
効用
木の蔓延を抑え形を整える。土の秀気を吐出させ、水を生じる。火勢を奪って土を涸らします。
干支
天干は庚辛・地支は申酉・その他巳丑戌の中にも金が暗蔵されています。
生尅
土に生を受け水を生じ、火に尅され木を尅します。
五色
白 五臓 肺 五腑 大腸 五根 鼻 五主 皮 五味 辛
(1) 金の種類
▼強金
時令(旺相)を得て生助の多いもの。木の分力、火の錬治、火の吐秀を喜び、土の生、金の再来を忌む
▼弱金
失令(休囚死)して生助のないもの。土の生、金の比助を喜び、盗気の水、分力の木、銷熔(とかすこと)の火を忌む。
▼埋金
土を多見すれば金は埋没。土を掘る木、土を柔軟にする水、同気の金を喜び、生土の火、水の再来を忌む。
▼疏金
水を多見すれば金は沈む。制水生金の土、洩水の木を喜ぶ。調候の火は有用。生水の金、水の再来を忌む。
▼?金(けっきん)木を多見すれば金欠ける。金の比助を最もとし、土の生も
佳。制尅の火も時には有効。生木の水、木の再来を忌む。
▼熔金
火を多見すれば金熔ける。制火衛金の水、生、金の湿度を喜び、火の再来を忌む。金の比助は大した力とならない。
(2) 四時の喜忌
イ
春は囚令(春金は体・性とも軟弱)
寅月
余寒がなお厳しい時。先に陽火を調候にとるが、体は絶にあるので土の生が必要。金の比助は根にみるより、天干のものを喜ぶ。
卯月
地中に根がしっかりすれば、木火を見て顕達する。もし水火を多見すれば、従財の貴格となるが、幼児境遇に恵まれぬ象。
辰月
原土を掘り起こす陽木が必要。剛金に炉火(丁火)、柔金(辛金)には淘洗(壬水)の水が必要。
(三春の金に対する五行の作用は次の通り)
木
春金に旺木多見し、従格とならぬ場合は?鈍(ずどん くじける)の危険がある。辰月には木が最要のもの
火
陽金には必要だが、多見すれば銷熔の患いがある。
土
辰月に重土を見れば埋金の惧れがある。寅卯月は性を養うために必要。
金
根となっている金が地支にあれば、火錬を見て顕達。
水
寅月に水を見れば寒を増し、剛鋭の気を失う。柔金には淘洗用として必要。
ロ
夏は死令(金気は漸進の時にあるも、体脆弱にして形調わぬ象)
巳月
金長生のときにあるも火炎を冷やす水を貴とする。
午月
金は敗地(沐浴)となるので、火焔を消し金を潤する水を貴とする。
未月
剛金には木火が用となり、柔金には金水を求める。
(三夏の金に対する五行の作用)
木
巳午月の金が木を見れば火焔を助けて身を傷る患いがある。
火
未月を除き火を見て湿土・水がなければ銷熔する。特に柔金には凶
土
身を生じる湿土は妙。燥土を見て水潤がなければ脆くなり、単に土が多ければ、埋金となり光を発揮できない。
金
重金は火錬鋳金として有用の材。金の多い人は夏生まれが素晴らしい)
水
金潤って吉祥となる。
ハ
秋は旺令(金気令を得て剛鋭の極)
申月
剛金は木火を尊とし、柔金は水木を喜ぶ
酉月
剛金は木火が必要。柔金は水を見れば理が通り、更に木を見れば財豊か。
戌月
埋没の惧れがあるので、水木が用。
(三秋の金にたいする五行の作用は次の通り)
木
三秋の金は木を多見すれば多材の美となる。(才能豊か。財産が多い。)
火
火力強ければ鐘鼎(しょうてい)の器となる。(重器。重鎮―立派な人物になる)
土
金気剛鋭の時、土を多見すれば、頑愚となるが、肉親に難が生じやすい。疏土の木が緊要。
金
過剰となるので、挫折の愚を招きやすい。
水
吐秀の水は精神の発揚を促す。
ニ
冬は休令(寒冷にあっても体を失わない。ただ性が冷える。
亥月
水冷えて性寒し。火気を欲すること切。
子月
気候厳寒。火気と木気を必要とする。
丑月
湿潤の墓庫にはいるので、解凍の火気と疏土の木が必要。
(三冬の金に対する五行の作用)
木
三冬の金はいずれも木を見ることを喜ぶ。但し多見すれば金気脆くなり、名がならない。
火
解凍の用として重要。また錬金の用。
土
水を制し身を生じ体寒を防ぐ。
金
冬期の金は比助の働きよりも寒気を増すだけ。
水
多水は沈潜の憂いを招く。