天干と地支五行の性質と機能ー土行(09)

3 土行

始元
中央は陰陽が交わって湿を生じ、湿は土を生じます。


土は定性がなく四時の乗るところとなるが、相済に所を得るか否かを見るのを要し、大過不及(過ぎたるは及ばざるがごとし)を忌まない。中央より四維に散在し、金木水火の四行はここに依って象が成ります。


土は四物(火木金水)を包蔵し、これを養育して吐出する。いぇに体は虚実を兼ねる。


軽ければ四散し、重ければ鬱積して滞る。


土は信とし、誠とし、直とします。故に縄(じょう 法則規則)といい、負戴(ふたい 労働・苦役)の令を行い、養育を司り、稼穡(かしょく 作物を植え付け、刈り取ること)を盛徳とします。

作用
包蔵(万物を包容しその用に応じて出納する能)、調和(他の四行はもとより全ての機能を調和して各本来の働きを遂行させる)、厚載(厚重の性にして万物を載せて偏在させる力)、保育(冷熱を調和して盛衰生滅の機を維ぎ、万物の生気を化育する力)、抉抑(万物の進退過不足を抉抑する調節の機能がある)抉抑(けつよく えぐったり、抑えたりすること)

効用
金を生じまた埋めます。火を晦くしまた葬ります。木の根元を固めまた保育します。水を堰ぎ流れを整えます。

干支
天干は戊己、地支は丑辰未戌、その他寅巳午申亥の各支にも土が暗蔵されているが、申亥の土は透出しないとし、用にはとれません。(透出しても殆ど用にはとらない。)

生尅
火に生を受け金を生じ、木に尅され水を尅します。

五色
黄 五臓 脾 五腑 胃 五根 口唇 五主 肌肉 五味 甘い

(1) 土の種類

▼強土
時令(旺相)を得て生助の多いもの 疏通する木 吐秀の金 潤土の水を喜び、火の生、土の加重を忌む。

▼弱土
失令(休囚死)して生助のないもの。火の生、土の比助を喜び、木の尅制、盗気の金、水の分力を忌む。

▼焦土
火が多ければ、土は焦げる。制火潤土の水を喜ぶが、水源の金が必要。少量の水では焼け石に水で無用。生火の木、火の再来を忌む。同気は湿土なれば稍佳(少しよい)。

▼変土
金が多ければ土は変質する。これを悪土といい、物を育成する力を失う.制金生土の火を最もとし、比助の土も小佳(すこし良い)。木の尅、金の再来を忌み、滅金の水は斟酌が必要。

▼傾土
木が多ければ土は傾陥する。木の尅を化す火を最もとし、木を制し土を守る金も佳。比助の土は無力。木の再来、生木の水を忌む。

▼流土
水が多ければ土は流れる。比助の燥土を喜び火を併見すればさらに佳。火の単見あるいは湿土の比助は無力。生水の金、再加の水を忌み、浅水木は斟酌が必要。

(2) 四時土の喜忌


春は死令(春土は木に冒されて体虚となる)

寅月
余寒が厳しいので太陽の照射を見て、生気活発となり、木の尅は火があれば佳。泛濫(はんらん)の水、盗気の金を忌む。

卯月
木大旺の時土気虚弱となるので火の生と土の比助、更に少量の水を見れば佳命。 旺木を制する金は土強ければ佳。

辰月
土が司令するので、先に耕土の木と少量の水、更に陽光を見れば、すこぶる佳命。地支に水局を見れば自立できない。

(三春の土に対する五行の作用)


寅卯辰とも火があれば大助を納め、辰月は耕作用に必要なもの


三春の土には火の陽暖は天恩にして万物を生じる能を得る。火を多見すれば、春の早田といい、融通性を失う。


大過を嫌うが比助として必要。


制木の用となるが好命といえない。重見すれば盗気の患いあり


少量の水は火と相まって功を促進するが、泛濫の水は災害を招く。

(妻の害 金銭の害 才能の害)


夏は相令(火気燥烈の時)水を見れば育成の力発揮

巳月
炎陽烈烈でも癸水(雨水など)を見て疏土の木があれば大功を納める。但し、水源の金が必要。

午月
烈火によって大地焦土となるとき、灌漑(壬水 川の水)の水が必要

未月
土が枯渇するとき、水を最要とし金を見て更に天に日が輝けば、稼穡の功を施す。

(三夏の土に対する五行の作用)


火炎を助けるのでは凶。水潤を見れば排難打開の妙を得る。(相当の苦労があっても運命を切り開いてゆく。困難突破)


旺火が透干すれば焦土は亀裂するだけ。心身に異常があるか子女を失う命,また僧道の命ともいう。


厚重の土は万事に阻滞を生じ、協調性を失う。


互相の水を見れば妻財を益し、稼穡の功がなる。


盛水は良剤。土は潤養して育成の実をあげる。滴水では万事食言の行動は終わりやすい。


秋は休令(子が旺じ自ら衰える時でも稼穡の実をあげて静穏)

申月
寒気次第に伸びる時。太陽の照射と少量の潤いがあれば有用となる。厚土なれば疏通の木が必要。

酉月
盗気強く土気収縮するので、太陽を見れば生気煥発を得る。大気乾燥の時、慈潤の水を見れば、清秀聡明な人。

戌月
厚重の土となるので、少量の水潤と耕耘(こううん)の木をみれば収穫大。

(三秋の土に対する五行の作用)


勢いある木を見れば制伏(つき従わせること)適宜となり多彩純良の命


縮収の土気を解くのに最要のもの。ただ戌月に多見すれば孤愁の憂いあり。


比助の土を見れば子が栄えて、土金育秀の功をあげる。但し戌月は不要。


吐秀のものでも多見すれば、体弱り虚質となる。火の生または水の転化があれば優良。


少量の水を見るのは財豊か。多量の水は任財の舵がなく、いずれにしても火は必要。


冬は囚令(外寒くして内は暖 ひそかに体力を培養刷る時)

亥月
小春日和でやや生気があるも、照暖の太陽かあるいは、旺水を防ぐ土が必要。更に疏通の木をみれば、萬貴騒然。但し、木と土が近貼してはよくなり。

子月
厳寒の土はただ太陽の温暖を求め木の疏通を喜ぶ。

丑月 前月同様

(三冬の土に対する五行の作用)


もし一点の木が火を生じる場合は好命。木を多見するも無害


高照の陽火をみれば万物回春の象にして栄達の命


高亢の土が比助となれば実力を涵養。


身が強く金を見れば、清貴なるも貧寒。見弱の命は気冷えて寿元(喜びの元となるもの)を損なう


水旺の時身が強ければ、才豊か。金水を重見すれば妻害を招き子は不肖。