5 水行
始元
北方に陰極まって寒を生じ、寒は水を生じます。
性
太陰(月)に属し潤下が性。
体
積陰の寒気が水に反り、水は外陰にして内明(内陽にして外陰つまり内剛外柔)
質
流動して方円に従います。(方は四角 円は○ つまり自在に形を変えること)また準(みずもり 水平を計る道具)として万物を平準にします。
徳
水を智とし謀とし重とします。故に権といい、厳凝(水が凍るほど厳しい)の令を施し、殺物の権を司ります。性は不定にして東と決する時は東流し、西と決すれば西流します。潤下が盛徳です。
作用
冷清(陰気が極盛にして冷気を生じ、物を冷清する。)低下(水は冷えて常に低下する働きがある。)凝集(生気を凝集して堅実にさせ、発揚の原動力となる)湿潤(万物を湿潤にして活気を与える)任養(陰極まって内に微陽を生じ、万物の正機となり、生命力を任養する働き)
効用
万物に生気を与え、熱気を納め、土を潤して金を生じ、金を洗って秀気を発し、理性を豊かにします。
干支
天干は戊癸、地支は亥子、その他丑辰申中にも水が暗蔵されえいる。
生尅
金に生を受け、木を生じ、土に尅され火を尅します。
五色
黒 五臓 腎 五根 耳 五主 骨 五味 塩辛い
(1) 水の種類
▼強水
時令(旺相)を得て生助の多いもの。木の洩秀、火の分力、堤防の土を喜び、金の生、水の再来を忌む
▼弱水
失令(休囚死)して生助のないもの。金の生、水の比助を喜び、木の盗気、火の分力、土の尅制を忌む。
▼滞水
金が多ければ水濁る。熔金の火、水の比助を喜び、生金の土、金の再来、木の盗気を忌む。
▼縮水
木が多ければ水縮む。尅木生水の金を喜び、木の再来を最も忌む。蒸発させる火、尅洩交加(こくえいこうか)となる土を忌み、水の比助は力が弱い。
▼沸水
火を多見すれば、水は沸く。水の比助を最も喜び、金の生もまたよい。盗気生火の木、火の再来、水を蒸発させ燥土を忌む。
▼淤水(おすい)土を多見すれば水淤む。(よどむ)疏土衛水の木、洩土生水の金、水の比助を喜び、生土の火土の再来を忌む。
(2) 四時の喜忌
イ
春の水は休令(春水は木が散漫となり時には、泛濫の惧れあり)
寅月
火があれば春水暖かく物を育てるが、金気が水源となれば水尽きぬ象
卯月
春水泛濫の象。先に横流を止める土堤を要し、次に水源の金が必要。
辰月
庫地の土を流す木を先にし、次に水源の金を見れば有用の水。
(三春の水に対する五行の作用)
木
水強ければ清秀の気となり多見すれば洩弱。
火
火の相済を喜ぶが、多見すれば任財の能力を失う。
土
辰月を除き厚土をみれば、泛濫の患を防ぐ。土が皆無なれば散漫となり易い。
金
水源として重要。金がなければ遂行力を失いやすい。
水
多見すれば、崩堤の憂いを生じやすい。
ロ
夏の水は囚令(乾涸のとき帰源の金と比助の水が必要)
巳月
水の絶地にして涸渇の時。先に消炎の水、次に水源の金が必要。
午月
火焔旺盛の時、先に消炎の水、次に発源の金が必要。
未月
火気退くも燥土司権の時。先に発源の金、次に疏土の木が必要。
(三夏の水に対する五行)
木
疏土には必要だが、単に木を多見すれば、気勢を削ぐだけ。
火
火旺の時。火を多見すれば、蒸発の患いがある。
土
重土は流れを塞ぎ、乾涸の憂いがある。
金
発源の用として、三夏の水は皆必要。
水
消熱の用として比助の効力大。
ハ
秋水は相令(母旺し子相のとき、表裏ともに晶瑩(しょうえい きらきらと光輝く)
申月
源遠長流の水となるので、整流の亢土があれば、台閣(古代中国では、八省の上にあってこれを統括し、また皇帝を補佐して政策を審議する機関のことを「台閣」と呼んだ)の命。
酉月
金白水清のとき。流通を促す木を喜び土が水を塞ぐのを忌む。
戌月
水は天門に座視、進気に値うが、亢土が流れを阻害する惧れがあるので、疏土の木が必要。
(三秋の水に対する五行の働き)
木
木を多見すれば子が栄える。
火
火を多見すれば財豊か。
土
硬土は堤防となり、氾濫を防ぐが、柔土は水を濁す。
金
天干上に金をみれば、清澄透底の水。金多ければ滞水となるので、火の制が必要。
水
多水は氾濫横流の患いがある。
ニ
冬水は旺令(当権のときなるも寒威日に増し、結氷の憂いがある。)
亥月
水旺の時。氾濫を防ぐ硬土を先にし、堤防を破る木を制するために金があるのを喜ぶ。
子月
寒気一層厳しさを増す時。解凍の火が何より必要。次に泥水を防ぐ硬土。
丑月
天地ともに凍結の時。専ら解凍の火が必要。
(三冬の水に対する五行の働き)
木 有情の秀気であるが堤防を壊すのを嫌う。
火 除寒解凍の用にして水は清流となる。
土 旺水を整流するので臨機応変の才能をふるう。
金 寒を増し結氷を促して、義理を欠く。
水 氾濫して横水の患いがある。