十干の性情および日干と他干の関係ー丁(17)

▼ 字義
(説文)では夏時万物が皆丁実する象形。丁は丙を承けて人の心を象る。
(五行大義)では丁は亭である。亭は止まる。即ち物の生長が止まらんとするが如し。

▼ 性情
質は媚・性は順・徳は怜・色は淡紅・味は爽快・声は清亮・体は秀にして抑揚があり、用は敏にして捷・時を得れば能く剛暴を納め、奸邪を洞察するが、令を失えば灰尽となって窮愁呻吟(きゅうしゅうしんぎん)し、また卑僕賎妓が人の顔色を窺って、狎れるごとき性がある。その閃鋭な時にあたれば、狷介にして触れるものを傷つけ、その深性は柔侒(じゅうあん 柔らかく心地よい)にして計り知ることができない。天にあれば星光として直効はないかに見え、地にあれば人間有効(じんかんゆうこう)の火とし、炉暖、照明に取り、物に依附して燃焼を持続する。丁火の性は用意周到と放縦とが混在し、移り気のために初志貫徹しがたく、集中力を明滅し、やたらに自顕示に勢力を浪費する嫌いがある。

▼ 丁日から見る各干

甲木
印綬・陽干なので義母にとるが、庚父を見れば正母となり、自立精神を質扶する。

燃料として常時必需の木。但し、用となるには庚金の琢剤(形を整えるために用いる素材・薬剤など)を求める。特に春時の多木は庚金がなければ、燻火となって貧が大である。炎夏に甲木を見れば、庚金および湿潤を要し、もし両者を見なければ、
孤貧にして善果を見ない。

乙木
偏印・陰干なので嫡母とするが、偏愛を受けるか、あるいは孝養をつくす。
   
乙を湿草とするので、秋期以外炯(けい ひかり)を生じない。故にこれを晒す(さらす日にさらして乾かすこと)丙火か、制御する庚金を見れば富栄となる。盛春に乙木を多見すれば、貪欲なるも財を得難い。乙庚が露干(ありのままにもとめること)して相合すれば、父母がわが身を省みない。

丙火
劫財・陽干なので兄弟にとる。

地支に見るのを喜ぶ。天干にあれば灯光を奪うのでせっかくの才能も不発に終わる。扶助の用となれば、強力にして湿草を枯らして栄光を加え、強金に抗して行動に気概を添える。但し、辛財に対しては劫奪の禍となる。

丁火
比肩・陰干なので姉妹

輝光を添えるが、競艶の関係にあて壬官をみれば争合となる。癸殺に対しては協力の美を発し、旺火強金は財政に異才を発揮し、衰財に見れば病を招く。微根の丁は一瞬の閃光を示すだけに終わる。

戊土
傷官・陽干なので女命には男児。喜用となれば男命もまた同じに取る。

癸殺を制御し壬官の力を調整するが、高土を見れば火土夾雑(きょうざつ 混じる)となり、行動粗暴にして能力以上のことを企て、中途挫折の惧れがある。もし甲木を見れば精神を振作(振い起す)し大用を発す。

己土
食神・陰官なので女命には女児。喜用となれば男命もまた同じにとる。

洩秀の用となれば恭謙温順を主り、更に金財をみれば輾転富栄を招く。癸殺を制するが湿土の場合は湿材の能を失う。壬官を濁すが、暗に培木の用となる。用の甲木に緊貼すれば積年の労苦も虚化して結実をみない。

庚金
正財・陽干なので父また僕童。

丁庚は良友であり、庚は甲の好敵である。四時ともに甲を裂く用となり、湿乙には制化の効がある。火金両停は鐘鼎の大器となり、剛金弱火は妻財に翻弄されて息滅の象がある。もし無根にして木印がなく、生財の土気をみれば棄命従財となり、西北の地に循れば大貴小富を得る

辛金
偏財・陰干なので正妻。

柔軟な金なので和気があり、用となれば丙火の合奪を惧れ、火金両旺は富格となり、更に甲乙いずれか木を見れば、進路順調である。もし金水を多見すれば気概があっても顕出できない。重土を見る者は玉を懐いて罪があり、女命は長舌にして淫蕩である。火根木気がなければ、従象格となり先に貧でも後に富み、養嗣となれば雲梯
を上る。

壬水
正官・陽干なので男児。女命には斉眉(後漢の梁鴻の妻の孟光が食膳を捧げるとき、その高さを眉(まゆ)と斉(ひと)しくしたという「後漢書」梁鴻伝の故事から》妻が夫を深く尊敬して仕えること)興家(家を興し盛んにする)の夫。

干合して火源に暗化し有情。盗明の丙火を抑制し、盛夏に強水をみれば、篤実厚義の人となる。身弱にして壬癸混在すれば、利を貪って非行を恥じない。但し、戊制をみれば、小功を挙げ、甲化をみれば大発を促す。両壬に夾合を受ければ事を繁雑にして是非を誤る。

癸水
偏官・陰干なので女児。女命には口うるさい夫。

丙火を抑えるので、夏季独殺権となれば大発する。但し、財慈を要し、もし滴水なれば孤貧に苦しむ。衰火が癸殺を見れば即滅するか残傷に艱む(なやむ)。

丁日の用例 男命

乙 丑
戊 子
丁 卯
丙 午

二木三火を見るので、冬月の丁火も小強となる。丁火の燃焼を持続するには、原則として(1)甲薪があれば庚斧を要し、(2)湿乙をみれば丙火に晒すを要す、とあるが、(2)の場合にはその反面白昼の行燈のような奪明の患いを斟酌しなければならない。この命は身強を制御する癸殺を月令に得るのは、貴徴の一つとなるが、戊土と丑土の尅を両見して弱殺となるのが惜しい。

幸い運程が金水の地を遡行するため、41歳までは、まず順路をたどると見ることができる。しかし42歳に至や大運が南方火地に交入。しかも流年が用神の子水を冲去し、かつ丁火晦光の丙午年にあたるので、突如逝去の痛恨を見るのも、また天命というべきであろうか。

丁日の用例 女命

壬 午
辛 丑
丁 亥
壬 寅

これは嫁婚の時期を問われたものである。月垣(げつえん)の丑中辛金が透るので、偏財格にとり、天干に両壬を見るので、やや見弱の命となる。従って、木火を喜神とし、土金水が忌神となる。壬官を夫ととれば、両壬を見るのは面白くない。故にこの一方の壬水を合去する丁未年に良縁を得ると断言できる訳である。ただし、壬水が忌神に属すので、しっかりとした人物であっても、結婚当初は気難しい夫に嫁しづく官があるが、事実その通りの結果をみたのである。壬水の根となる日支亥水が時支の寅に引化されるので、子供ができればいい夫になるであろう。参考のために配偶者の八字を左に挙げる。

庚 辰
壬 午
甲 午
丙 寅 

この命は甲木が午月に生まれるので、木火傷官格となる。時支寅木は禄を得るが、丙火が乗って午火が緊貼するので、寅午半会の火に化し、根とならない。従って見弱と取るより他はない。故に消炎の月上壬水を用とし、土金水が喜神となり、木火が忌神となる。以上を踏まえ、この命の特徴を列挙すれば、

1.甲木炎夏の生まれの調候用神には、癸水をみれば天恵によって享通を得るが、壬水は灌漑の労力を要するので、努力家とならざるをえない。

2.木火傷官は聡明智巧であるが、自尊の念が強く現状に甘んぜず、常に高位を望んで焦心の傾向がある。

3.月令午火に始まり、年支辰土、年干庚金、月干壬水、日干甲木、時干丙火に終わって順遂するのは貴兆の一種である。もし裏切りの心を抑えて事に順えば(したがえば)大発が約束できる。

4.六親は壬水が用神となるので、母は賢良にして働き者。父を年支辰土にとれば、七歳丙戊年に失ったとみられる。兄弟は月上壬水の半木を取り、兄一人にして優秀と見る。妻は日支中の己土を取り、喜神に属すので、はず良配である。子供は年上庚金を取り、水源となるので、これまた優秀。特に戊甲年に得るのが佳い。

5.事業 土金水の喜用が木火傷官の旺火を制御するので、技術的に優れる才能があり、特に数理的にち密な頭脳を有し、かつ財政的手腕も相当なものである。

6.天寿57歳丙子年は大運戊子とも子午の両冲となるので要注意。

相性の概要

(1)夫婦相互に自分の喜用となる五行を相手に多見するのを喜び、特に日柱を見て強力なものが最適。

(2)命中大過する五行を制化する八字を有する相手が佳い。尅制・引化の何れが適宜か、探求のこと。この反対に不及するものを生助するのもまた同じ。

(3)次に喜用が同じ五行となるもの同士もまたよい。男命において妻星が喜用となる場合、この五行を日主とし強い女性か、または破るもののないのもよい。

(4)女命において夫星が喜用となる場合に、この五行を日主とし強い男性か、または破るもののないのもよい。

(5)日柱が彼我愛方の互換空亡にあたる者はなるべく避けた方がよい。

(6)同一空亡の命式、即ち同一旬中に生まれた日柱を持つ相手は偕老同穴の夫婦と古説にあるが、あまりあてにはならない。但し、交友関係においては使える点がある。

(7)日支の互冲、互害、互刑等は、時には頗る好作用となる場合がある。故に喜用をよく確かめることが大切。

(8)傷官の強い女命は古来不縁尅夫と嫌われているが、これとても前述各項に該当すれば、何ら恐れることはない。もし適当なものがなければ、空亡の日支を持つ男性に嫁せば除災。

(9)女命の日刃、月刃を凶命として恐れてはならない。もし前項に適合すれば吉縁となる。

(10)日坐空亡(乙亥日生まれ)の女命は、冲支あるいは合支を日坐に有する男性に嫁せば解難。