十干の性情および日干と他干の関係ー甲(14)

2.十干の性情および日干と他干の関係


▼ 性情

質は強く、性は直、徳は仁、色は青、味は酸、声は濁、身体は方にして長、用は萌と動、時を得れば隆棟(豊かで立派な人物)の材、令を失えば腐朽の廃材、尅戦大過に遇えばただの木屑となって四散、生扶(水)の多見は漂流して依るところがない。大体身旺は自信過剰にして世知に通じない嫌いがある。死木とし剛木とし根幹とし疎土の用となる。参天の勢いがあるも折れやすく、また風雪に耐えて亭亭(高くそびえたつさま)たる力もある。生命の象徴。

▼ 甲日から見る各干

甲木
比肩・陽干なので兄弟にとる。

比助の力が強いので身旺に見れば徒に(いたずらに)密林となって成果がない。(果 実が実らない)多財見弱には同輩兄弟の力を得ることが大。泥水を吸収し、丁火の燃料となるが、己土財星を併見すれば分奪の争いを惹起する。

乙木
劫財・陰干なので姉妹にとる。

扶助の力は軽微。身旺に見れば係累の煩瑣を増すだけ。春秋に庚殺を忌む場合は、位置によっては味方となるが、庚金に根があれば化金して敵となる。己土妻財の病となり、戊土偏財に対しては無力。丁火を燃やす力はないが、丁火の忌神の場合は火焔を助長しない。泥水に対する吸収力は殆ど皆無。

丙火
食神・女命には陽干なので男児、喜用となれば男命もまた同じにとる(泄気)。

吐秀と見るより日射とし、冬期および初春は除寒解凍の用となり、舒暢開発(じょちょうかいはつ 心がのびのびとして知識を開き導くこと)の気が動いて進路の平坦を司る。故にこれを合去する辛金の併見を嫌う。夏期に見る丙火は烈日となり甲木身主の気を涸渇させる。潤水および辛金がなければ成果を見ず、挫折。秋は剛金の制として丁火に力劣るが、調候としては有用。

丁火
傷官・女命には陰干なので女児、喜用となれば男命もまた同じにとる。(泄気)

春木が丁火を見れば、吐秀となり万朶(まんた 多くの枝。朶は枝)の花、更に土 気をみれば財禄双美(ざいろくそうび お金も喜びも両方備えている)壬癸の水が近貼するのを嫌う。夏は木火通明の俊英を主るが水潤がなければ虚花に終わり、火気多見すれば、灰熔に帰す。秋冬は炉冶(ろや)、温室として錬金・暖木の用となる。

戊土
偏財・陽干なので父とか妾婢僕童(しょうびぼくどう)にとる。

冬春は培根の用として厚土を欲し、特に気を漂流させる洪水にはダムとして有用の財。夏秋に重土としてみれば、木は折れて自主性を失う。(秋の木は弱っているので、振り回されてしまう)

己土
正財・陰干なので正室

干合して有情。密着の資材として四時とも愛し、水、火を見れば木の根となる。但し、他に用があれば甲木日主は妻財に恋愛をして体を失い、要務を忘れる。

庚金
偏官・陽干なので男児。女命は剛健の夫星にとる

四時とも強木裁制に主要のもの。春は助金戊土を喜び、夏は生金の湿土が必要。秋冬は錬金の丁火をみれば日主は隆棟の材となる。

辛金
正宮 陰干なので、女命は夫の柔和を司る

截財の作用弱く、強根(酉を持つ辛金)を見れば、木を琢削できるが、細心・巧妙にして小手技に走りやすいきらいがある。烈火の丙をけん制し、水源となって焚木の憂いを消す。

壬水
偏印・陽干なので心の通じぬ母とし、喜用となれば孟母。

河水として木質を硬くするが、春は氾濫して木を流し、夏は灌漑(かんがい 田畑に水を引き入れること)の用となるが努力を要し、秋に盛水をみれば木は漂流し、冬に旺水をみれば形を忘れる。夏を除いて、戊土、丁火の制化が必要。

癸水
印綬・陰干なので慈母にとる。

春夏は慈雨となるが、丙火と近貼すれば晴雨常ならぬ象となり、戊合をみれば母の情定まらず、秋冬に多見すれば、木質の朽廃を導く。

甲日の用例(1)男命

壬子  癸卯
壬寅  甲辰
甲子  乙巳
壬申  丙午
甲木が初春に生まれるので、時令を得て旺じるものである。天干に三つの壬水、地支に二つの子水を見るのは身強となるが、時支に木を尅す金があるので、強に従うことはできない。しかもこの申金は余寒の水木を凍結させるだけで、これを母多くして子を滅すものとする。用はこの氾濫の水を吸収する木にとる。大運の癸卯・甲辰は木が旺じるので、親の恩恵厚く、境遇も好適であるが、ひとたび乙巳に入れば、水火尅戦して財を破り、丙午運は旺水を冲撃するため竟に(ついに)命限を損じ死亡したのである。もしこれが女命ならば、大運が逆行して冬より秋に進むので、命限を損じることはないが、孤愁多病(こしゅうたびょう 孤独で病弱)の患いがある。

甲日の用例(2)男命

庚辰  癸未
壬午  甲申
甲辰  乙酉
丁卯  丙戌
丁亥
甲木が仲夏(ちゅうか 夏三カ月の真ん中の月 陰暦五月)の酷暑にあって、時干に丁火が透るので、焚木の惧れがある。幸い、これを潤す水が月上にあり、更に年上に水を生じる金がある。これを用とする。最も妙となるのは、二つの辰である。この湿土は火気を吸収し、金を生じ水を蓄える効用がある。故に若い時より学才優秀にして、官界に進んで、顕達する。ただ、丙戌運は金水を両傷するので、不利であるが、他は順調である。