天干と地支五行の性質と機能ー金行(10)

4 金行

始元
西方の陰気は燥を生じ、金は燥に生じます。


陰に属し沈下するも止まるところがあります。


至陰の中に至陽を含む。故に光明があります。


剛堅にして万物を栽断します。


金を義(道理)とし、方(てだて やり方)とし、成(事柄を成す)とします。故に矩(のり 法則)とし収斂(しゅうれん 物を集めおさめる)の令を施し、粛殺(しゅくさつ 秋の厳しい気候が草木を枯らすこと)の権を司り、従道を盛徳とします。

作用
緊縮(陰気進んで万物を緊縮させ大成させる力)収斂(万物の膨張する気をとどめ内部に納蔵させる力)更革(陰陽の二気を変革させる力)銷殺(しょうさつ 万物の気を涸落させる働き)成熟(生物の伸張を制圧し成熟させる力)

効用
木の蔓延を抑え形を整える。土の秀気を吐出させ、水を生じる。火勢を奪って土を涸らします。

干支
天干は庚辛・地支は申酉・その他巳丑戌の中にも金が暗蔵されています。

生尅
土に生を受け水を生じ、火に尅され木を尅します。

五色
白 五臓 肺 五腑 大腸 五根 鼻 五主 皮 五味 辛

(1) 金の種類

▼強金
時令(旺相)を得て生助の多いもの。木の分力、火の錬治、火の吐秀を喜び、土の生、金の再来を忌む

▼弱金
失令(休囚死)して生助のないもの。土の生、金の比助を喜び、盗気の水、分力の木、銷熔(とかすこと)の火を忌む。

▼埋金
土を多見すれば金は埋没。土を掘る木、土を柔軟にする水、同気の金を喜び、生土の火、水の再来を忌む。

▼疏金
水を多見すれば金は沈む。制水生金の土、洩水の木を喜ぶ。調候の火は有用。生水の金、水の再来を忌む。

▼?金(けっきん)木を多見すれば金欠ける。金の比助を最もとし、土の生も
佳。制尅の火も時には有効。生木の水、木の再来を忌む。

▼熔金
火を多見すれば金熔ける。制火衛金の水、生、金の湿度を喜び、火の再来を忌む。金の比助は大した力とならない。

(2) 四時の喜忌


春は囚令(春金は体・性とも軟弱)

寅月
余寒がなお厳しい時。先に陽火を調候にとるが、体は絶にあるので土の生が必要。金の比助は根にみるより、天干のものを喜ぶ。

卯月
地中に根がしっかりすれば、木火を見て顕達する。もし水火を多見すれば、従財の貴格となるが、幼児境遇に恵まれぬ象。

辰月
原土を掘り起こす陽木が必要。剛金に炉火(丁火)、柔金(辛金)には淘洗(壬水)の水が必要。

(三春の金に対する五行の作用は次の通り)


春金に旺木多見し、従格とならぬ場合は?鈍(ずどん くじける)の危険がある。辰月には木が最要のもの


陽金には必要だが、多見すれば銷熔の患いがある。


辰月に重土を見れば埋金の惧れがある。寅卯月は性を養うために必要。


根となっている金が地支にあれば、火錬を見て顕達。


寅月に水を見れば寒を増し、剛鋭の気を失う。柔金には淘洗用として必要。


夏は死令(金気は漸進の時にあるも、体脆弱にして形調わぬ象)

巳月
金長生のときにあるも火炎を冷やす水を貴とする。

午月
金は敗地(沐浴)となるので、火焔を消し金を潤する水を貴とする。

未月
剛金には木火が用となり、柔金には金水を求める。

(三夏の金に対する五行の作用)


巳午月の金が木を見れば火焔を助けて身を傷る患いがある。


未月を除き火を見て湿土・水がなければ銷熔する。特に柔金には凶


身を生じる湿土は妙。燥土を見て水潤がなければ脆くなり、単に土が多ければ、埋金となり光を発揮できない。


重金は火錬鋳金として有用の材。金の多い人は夏生まれが素晴らしい)


金潤って吉祥となる。


秋は旺令(金気令を得て剛鋭の極)

申月
剛金は木火を尊とし、柔金は水木を喜ぶ

酉月
剛金は木火が必要。柔金は水を見れば理が通り、更に木を見れば財豊か。

戌月
埋没の惧れがあるので、水木が用。

(三秋の金にたいする五行の作用は次の通り)


三秋の金は木を多見すれば多材の美となる。(才能豊か。財産が多い。)


火力強ければ鐘鼎(しょうてい)の器となる。(重器。重鎮―立派な人物になる)


金気剛鋭の時、土を多見すれば、頑愚となるが、肉親に難が生じやすい。疏土の木が緊要。


過剰となるので、挫折の愚を招きやすい。


吐秀の水は精神の発揚を促す。


冬は休令(寒冷にあっても体を失わない。ただ性が冷える。

亥月
水冷えて性寒し。火気を欲すること切。

子月
気候厳寒。火気と木気を必要とする。

丑月
湿潤の墓庫にはいるので、解凍の火気と疏土の木が必要。

(三冬の金に対する五行の作用)


三冬の金はいずれも木を見ることを喜ぶ。但し多見すれば金気脆くなり、名がならない。


解凍の用として重要。また錬金の用。


水を制し身を生じ体寒を防ぐ。


冬期の金は比助の働きよりも寒気を増すだけ。


多水は沈潜の憂いを招く。