九気の示す現象ー二黒土星

二黒土星 (坤-地)

天 象
晩夏から初秋・曇り・霧・雇・七月(未月)・八月(申月)・午後一時より三時(未刻)~午後三時より五時(申刻)・南方位と西方位の間で南西六〇度

色・数
黒・濃紺・五・十

象 意
大地・平地・地球・従順√勤労・地役「生産・勤勉・慈愛・寛容・貞節・母性愛・地味・無欲・怠惰・愚鈍・遅滞・躊躇・迷い・無知・青春

人 物
母・老婦人・妻・皇后・補佐・脇役・大衆・農夫・労働者・無能力者

職 業
農業・畜産業・製粉業・古物商・不動産業・陶磁器業・園芸・雑貨業・寝具・駄菓子屋・助産婦

身 体と疾 患
胃・腸・右手・牌臓・胃腸関係の疾患一切・不眠症・黄痘

場 所と建 物
平地・平野・農村・田園・方形の地・郷土・場末の地・小路・横丁・暗い場所・土間・物置小屋・倉庫・質店・古い家・家の隅・城址

具 象
古物一切・木綿織物一切・土器・畳・肌着・寝具・敷物全般・木炭・練炭・灰・土砂・セメント・碁盤

食 物
穀物類・芋類・せんべい・餅類・五目そば・粉類

植物
苔・わらび・黒柿・黒壇

動物
牝牛・牝馬・羊・猿・蟻・土蜘蛛

二黒土星

二黒は土星と呼ばれ、定位は西南です。二黒の土は大地の土です。ここでもう一度、先天盤の二黒土星の位置と、後天盤の二黒土星の位置を見てください。

先天定位盤

後天定位盤

先天盤では北に二黒土星がいますが、後天の盤では一白水星が北にいます。二黒の土は一白の水を含んで始めて、二黒土星としての用きをなし得るのです。もう一つは、二黒土星は先天盤では天の下にあり、陽の光を浴びています。そして、後天盤では九紫の隣に位置し、これも又九紫の火で温められています。

水分を含んだ土は柔軟性があり、粘り強くその上適度に温められているからこそ、実に色々なものを産み育てられるのです。しかもこの大地は何一つ報酬を求めようとほせず、全ての産出物を、誰、彼の差別なく、地上の生き物に与えています。対立もなく、争いもなく、ただ黙々と働き続けるのが大地なのです。

二黒の徳は地性の徳であり、陰性の徳です。昔から、二黒の徳を坤徳と言い、二黒の道を坤道といって、女の道、母の姿にたとえています。これを虐げられていると取れば、大きな間違いです。地上にあるものは全て大地より生まれて来たものではないでしょうか。そして、大地は何があっても動揺しません。しっかりと全てのものを支えています。大地がなければ、又生物も存在しないのです。何物をも超越した大地の愛を慈愛といいます。

地上にあるもの全ては土より生まれ、それを育てるのも、又大地の役目なのです。以上のような理由から、二黒は土台や基礎を造る所であると考えられています。

西南、あるいは二黒の遁甲している方位に吉方で動けば、非現実的な欲の深い、ムシのよい考え方は失くなって、堅実で、地道な考え方を持つ様になります。まず自分の足下を固めて一歩、一歩、確実に進む様になるでしょう。その時こそ、初めて開運への第一歩を踏みだしたのだといえるでしょう。

二黒の方位に移転、あるいは移動出来る人は、本命、月命、九紫・八白・五黄・七赤・六白の人です。一白・三碧・四緑の人には凶作用がはたらきます。

開運という事に因んで、大黒天を二黒を象徴する神様であるともいいますが、又地蔵菩薩が二黒を象徴しているともいいます。

一、無

二黒土星の基本として[無]が挙げられま気す。これは、何もないという事ではなく、何かの意図を持ってやる、とか、わざとらしく行う事を、否定している姿なのです。無理のない自然の行い、あるがままを受け入れる姿という事なのです。「遮二無二」という言葉がありますけれど、この二は単なる数字の二ではなく、二黒の二の事です。二黒を遮ざる、二黒をなくす、という意味に使います。「無」といっても、全部をなくすような事ではありませんし、全てを諦めて、何もしないという意味でもあケません。利己的な欲望を持たず、物を育成する大地の行為を「無」という言葉で現わしているのです。「無」になりなさい、という教えは、二黒の心を持ちなさい、という事です。

二、復

二黒の方位に移動したり、自分の本命が西南に遁甲すると、古い記憶が整って来たり、過去の問題がむしかえしたりします。二黒には「古」又は、「復」という作用があるからです。「古」とは古いという意味に加えて、そもそもの始め、の意味もあります。[万物は土より出でて、土に復]との意味をみれば、それがはっきりと理解出来るでしょう。

三、坤徳・坤道

二黒土星を易では坤といいます。坤とは二黒のはたらきそのもので、二黒の生気のはたらきを坤徳といいます。坤は陰性の土の事で易経の中には坤の道を、たとえ自分に勝れた点があってもそれを現わさず、目上の言葉に従い、成功したとしても自分の手柄としてはならない。これが地の道であり、最後にはきっと大きな幸せを得るのだと教えています。これが天に対してとるべき地の姿であり、夫に対しての妻の道であると教えている所から、坤は女の道であるとされています。天は与えるものであり、地は受けるものという思想から生れた考え方なのでしょう。従って、地役・勤労・補佐等の象意がそこから出て来たのだと思います。

四、人物

二黒の表わす人物は、女性です。しかも年配の女性であるとされています。二黒の遁甲している方位、あるいは西南に移動すると、必ず年配の女性に縁が出来ます。吉を用いてゆけば、親切で真面目な働き者の女性と縁が出来ます。凶方で行けば、だらしのない怠け者か、考え方の古い、頑固でケチなお婆さんに邪魔をされたり、妨害を受けたりで面白くない事になります。